契約書の印紙税がかからない方法

具体的方法

 次に印紙税がかからない以下の具体的方法について解説します。
 ・電子契約を結ぶ
 ・領収書を電子データで交付する
 ・海外で契約書に調印する

電子契約書は不課税

 既に触れたとおり、電子データで作成された文書(電磁的記録)は印紙税の課税の対象には入りません。電子データで作成された文書に、たとえ印紙税法に規定する課税文書に該当する内容が記載されていたとしても、書面として文書の作成がない限りは、課税されないということです。

 以前は契約書などの大事な書類については紙での契約が基本で、電子契約で行うことには抵抗感があったように思います。ただ今では実際の契約の現場でも、電子契約での契約書の作成・締結が受け入れられてきていると感じています。

電子データで交付した領収書は不課税

 電子契約書に印紙税がかからない理由と全く同じ理屈ですが、電子データで交付した領収書には印紙税がかかりません

 Amazonや楽天などのネットショッピングを利用した際、最近は購入サイト上で領収書をダウンロードすることが多いと思いますが、このサイト上からダウンロードした領収書には印紙税がかかりません
 また同様に、領収書をPDFファイルで作成し、メール添付で送付するといった場合にも印紙税はかかりません

海外で調印した契約書は不課税

 文書の作成場所が日本国外である場合には、印紙税はかかりません(印紙税法基本通達第49条)。

 既に述べた通り、印紙税がかかるかどうかは、文書の作成時で判断されます。そして、契約書については、契約当事者がサイン(押印)をしたときに文書が作成されたと判断されます

 つまり、契約書の調印が海外で行われた場合には、印紙税はかからない、ということです。

おわりに

 これまで、印紙税がかからないようにする以下の具体的な方法を根拠とともに紹介してきました。

 ・電子契約を結ぶ
 ・領収書を電子データで交付する
 ・海外で契約書に調印する


 特に電子契約書については、現在様々な業者が電子契約サービスを提供しており、プランも様々展開しています。実際に印紙税のコスト節約についてアピールしている業者もあります。

 電子契約書の心理的・コスト的なハードルも下がってきていますので、導入を検討してみるのも良いのではないでしょうか。紙の置き場所が減るという効果も期待できます(電子領収書や電子請求書とともに導入すれば、より一層の紙削減効果が期待できます)。

 ちなみに私は弁護士ドットコムが提供しているクラウドサインを利用しています。月5件までであれば無料で利用できるので、小規模な事業を展開している方にはお勧めです。

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