非居住者が日本国内の不動産を賃貸した場合の税務手続き

まとめ

ここまで、非居住者が日本国内の不動産を賃貸した場合に必要となる税務手続きについて解説してきました。

 要点をまとめると、
 ・不動産の賃貸料等は、原則として20.42%で源泉徴収される
 ・不動産の賃貸料等を受領した年の翌年3月15日までに確定申告が必要。他の所得と合算した上で5.105%~45.945%の超過累進税率で課税され、源泉徴収税額との差額が精算される

 ・所得控除は原則として基礎控除、雑損控除、寄附金控除しか使えない
 ・住民税は翌年1月1日時点で帰国していない限り、非課税。

 ・事業用の賃貸物件はインボイス制度に注意
 ・申告・納税手続きは、納税管理人を介して行う。

 なお、上記の取扱いは、全て国内税法(所得税法、租税特別措置法等)の規定に則って解説しておりますが、本来は租税条約*上の取扱いについても検討が必要です。もっとも、不動産の賃貸料等については、租税条約上も通常は不動産の所在地国における課税権を認めていますので、結果として国内税法の取扱いと同様の取扱いとなります。

 * 租税条約の正式名称は、通常、「所得(及び譲渡収益)に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国(政府)と○○○(国名又は政府)との間の条約(または協定)」といいます。その名の通り、主として国際間の二重課税の排除を目的として二国間において定める租税に関する課税ルールのことで、租税条約は国内税法に対して優先適用されます。

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